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団体規制法/観察処分

足立区団体規制条例

長官銃撃国賠訴訟

裁判日程

抗議書

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平成22年6月27日

公安調査庁長官
北田 幹直  殿

                 団    体    名     A l e p h
                 主たる事務所の所在地  埼玉県越谷市■■●-●-●
                name

抗   議   書

 

 本書面は、本年6月11日に当団体・会員住居等(東京都世田谷区)で行なわれた立入検査に関する抗議を行なうものである。

1.傍聴権の侵害

今回の立入検査は、同日午前11時45分から、観察処分期間更新処分取消訴訟の第4回口頭弁論が東京地方裁判所にて行なわれることを知った上で、貴庁があえてこの日を選んで世田谷区の住居等に立入検査を行なったものである。

(1)当団体による裁判の傍聴

裁判には代理人が出廷するものの、法務部及び広報部の担当者が裁判を毎回傍聴していることは、同様に毎回傍聴に来ている貴庁も十分に承知しているはずである。法務部は、教団の法律分野を担当しており、裁判を傍聴し、裁判の事前事後に打ち合わせをするなどして、今後の裁判方針を検討する立場にある。広報部は、記者会見などを通じて教団の活動を対外的に伝える部署であり、裁判を傍聴し、その進捗状況や内容をマスコミに伝えたり、マスコミからの質問に答える役割を果たす。場合によっては、裁判の直後に記者会見を開くこともある。従って、広報部・法務部ともに、裁判での傍聴は重要な業務である。
  この日に裁判が行なわれることは、本年3月4日の第3回口頭弁論のときに決定されていた。

(2)本件立入検査によって傍聴が妨害されたこと

今回の立入検査は、当団体の広報部が存在する世田谷区の住居に対して行なわれたものである。当該施設で立入検査があるときは、いつも広報部長Aが立会人の窓口となっており、検査官からも「Aが受忍義務者になってほしい」と要請されることさえある。よって、立入検査を行なうことが、当日のAの外出を阻むものであることは貴庁も十分了知しているはずである。また、もう一人の広報部員であるBも、この立入検査の立会人となったため、裁判の傍聴を断念せざるを得なくなった。A及びBの居住する部屋は、早朝から夕方までずっと立入検査が続いており、外出できる状況ではなかった。
  また、立入検査には法務部員Cがいつも立ち会っていることも、貴庁は承知しているはずであり、裁判の日に立入検査を行なうことによってCの傍聴権が侵害されることも、貴庁は十分に承知していたはずである。Cもまた、今まで当該裁判は毎回傍聴を行なってきたが、今回の立入検査によってその傍聴権を侵害されたのである。Cは、早朝貴庁の電話を受け、足立区での立入検査の立会人となることを余儀なくされ、その後は、世田谷区の立入検査へと向かうこととなった。

(3)立入検査を悪用した傍聴権侵害は止められたい

今回の立入検査は、上記3名が毎回裁判を傍聴していることを把握した上で、その日に重ね合わせるようにして、広報部の存在する世田谷区の住居に立入検査を行なうことで、上記3名の裁判傍聴を妨害し、法務部による裁判当日の法的検討を邪魔すると同時に、当団体の広報活動を妨害する意図を含んで、検査の場所・日付が計画されたものであると考えられる。観察処分の立入検査は、令状主義をとっておらず、公安審査委員会への事前の通報のみで検査が行なうことができる。そのため、今後とも、被処分団体が処分の取消を求めて行動する日に合わせて、貴庁はいつでも立入検査という権限を行使し、被処分団体の処分取消の法的活動を妨害することが、理論上は可能である。個人の傍聴権を侵害するだけでなく、裁判の公平性を乱す今回の立入検査に抗議するとともに、今後立入検査を悪用した裁判の傍聴妨害を行なわないことを要請する。

2.裁判準備資料の閲覧

今回の立入検査では、進行中の裁判の被告側の人間が、原告側の裁判準備資料を目視確認するという行為が行なわれた。

(1)相手方の裁判準備資料を写真撮影することは合法であるとの判断

広報部員の居住する部屋(●号室)に、現在進行中の、団体規制法に基づく観察処分取消訴訟に関する資料(以下、資料A)と、団体規制法に関わる、今後裁判を行なうことを検討している件の裁判準備資料(資料B)があった。
  立会人Bは、資料Aについて、「観察処分取消訴訟に関する資料があります。この資料を、この部屋にある物だから見るというならば、立入検査を使って原告の手の内を全部見るということができるということになるわけです。これは、裁判における平等性(公平性)に反するので、(被告側の立場にある公安調査庁が)見るものじゃない」と述べたところ、当日の立入検査の現場責任者である池田検査官は、「見る。うん。見る」と即答し、裁判資料が検査対象であることを明確にした。さらに、「なんかあるんだったら裁判でも起こしてくれればいい」「課長の判断です、検査をやるっつーの(検査をやるというのは)」と述べ、これが貴庁の上層部による判断であることを重ねて示した。これを受け、現場担当者の武藤検査官も、「個別に撮っちゃおうか、個別に撮ろうか。それで終わりだからさ、ここって」と発言し、当該資料をすべて写真撮影するとの方針を示した。

 すなわち、相手方の内部資料を閲覧することで、その裁判方針や戦略等を口頭弁論以前に知ることとなっても、そのような行為は団体規制法においては認められるというのが、池田検査官および「課長」(おそらく高橋検事)の法的解釈である。これは、取消訴訟における裁判の公平性(現場で立会人Bは、「平等性」という言葉を使ったが、これは不正確であった)を著しく害するものであると考え、立会人は引き続き、資料Aと資料Bは検査されるべきではないと主張した。
  その結果、池田検査官は「課長」に再度確認を取ることとしつつ、「で、見せろって言ったら素直に見せてよ、逆に。呼んでるわけだから」と述べ、「課長」のもとへ向かった。

(2)相手方の裁判準備資料の詳細を視認することは合法であるとの判断

その後、「課長」は現場に来ることはなかったが、「課長」と話し合った池田検査官が再び●号室に戻り、武藤検査官の示した全書類を「個別に写真撮影」するという検査方法を、池田検査官が「詳細について俺が見て(「課長」に)伝えるから、でまた必要だったら(写真撮影する)」という検査方法に切り替えると伝えてきた。つまり、団体規制法においては、被処分団体が処分の取り消しを訴えるための裁判準備資料を、当該団体が裁判所に提出するまえに視認・閲覧でき、必要に応じてそれらを写真撮影することもあり得る、という判断であった。

 これに先立ち、高橋検事は同●号室での検査において、「(検査の)必要性についての判断は我々がする。・・・僕らが適法・違法についての判断の責任を持つことになる。」「我々は写真撮影の必要があると判断した。それに応じるかどうかだ」などの発言をしており、立会人がその判断を受け入れなければ検査拒否罪で刑事告発されかねないことが示唆されていた。そのため、立会人Bはこれ以上交渉することは不当ではあるものの団体規制法違反に問われる危険性があると判断し、当該準備資料を検査官が目視するという検査手法を了承した。
  その後、池田検査官は各書類の表紙を視認し、この日は各書類の2ページ目以降を開くことなく、当該書類の検査を終了とした。
  しかし、表紙を目視にて確認されるだけでも、立会人Bの本件訴訟におけるかかわりの程度が了知されるのであり、資料の大枠を知られることも、当団体の裁判戦略を知られることに変わりはない。また、資料Aの中には、途中段階の訴状草案があり、目視されたトップページには、目次が書き換えられた変更履歴が明記されており、訴状作成プロセスの一部が貴庁の知るところとなった。

 また、この間、現場の検査担当者である武藤検査官は、立会人の度重なる要請にもかかわらず、4回にわたり資料Bのファイルを開き、その中身を見た。このファイルの中には、今後の裁判に向けて相談した人たちのリスト、裁判の争点、訴状草案などが入っており、そのリストや目次を一瞥されるだけでも、裁判方針が提訴前に把握できるものである。それを見られることは裁判の公平性が損なわれると考え、立会人Bはそのつど武藤検査官のファイル閲覧の中断を求めたが、武藤検査官はスキを見つけては、合計4回、資料Bのファイルを開いた。武藤検査官は、目視した内容をその場で記録係に伝えることはしなかったが、見た内容を記憶して、後で報告書に記す可能性もあり、裁判情報が事前漏洩されることで、裁判の公平性が損なわれる可能性を否定することはできない。

(3)団体規制法の違憲性

今回の観察処分期間更新処分取消訴訟で、被処分団体の防御不可能性について訴状で主張しているところ、本件は新たな防御不可能性を示すものである。すなわち、処分取消を求める団体の内部資料を、被告側の立場にある貴庁は立ち入り検査によって閲覧することが可能であり、現場の検査官が必要であると判断した場合、それらをすべて写真撮影することさえ可能なのである。このような状況で、裁判の公平性が保たれているとは言い難く、本件のような立入検査を許容するのであれば、団体規制法は憲法32条(裁判を受ける権利)を侵す違憲の法律であると言わざるを得ない。

(4)検査の適正さを保つために

今後は、裁判の公平性が守られるよう、立入検査において裁判準備資料の視認をしないことを要請する。
  また、書類の写真撮影について高橋検査官は、当初「基本的には部屋の担当官の判断です」と述べていたが、もし本件で、武藤検査官や池田検査官だけで判断していたら、裁判準備資料がすべて写真撮影されるところであった。しかし、最終的には高橋検事の判断により、視認までが合法とする見解に変更されている。取消訴訟の訴状にも述べたとおり、団体規制法は様々な人権侵害の可能性をはらんだ法律なので、少なくとも現場の検査官が単独で判断・決定を下すことなく、検事・課長クラスの判断を確認しながら検査を進めるよう、要請する。

3.武藤検査官について

上記書類Aを写真撮影しようとし、書類Bの中身を4回にわたり視認した武藤検査官には、他にも不適切な言動が複数見られたので、ここで指摘するとともに、改善を求める。

・武藤検査官は、何かと立会人の検査拒否罪をちらつかせながら検査を進めようとする傾向が強く、複数回にわたり、「拒否すんの?」などと質問してきた。一例として、高橋検事と立会人が検査範囲や検査手法について話し合っているとき、「拒否するっていうことですね?拒否するっていうことですね?じゃあそれはわかった」と言って話し合いに割って入り、検事を含む一同を唖然とさせた。このように、短絡的に立会人を検査拒否罪に結び付けようとする脅迫的発言が目立った。
・検査の邪魔になるということで、画鋲で留めてあるカレンダーをはずし、許可を求めることなく別の場所に留めた。画鋲を打つと修復不能の穴が開くので、これは当然のことながら立会人に毎回許可を求めるべきである(立会人は、許可を求められればこれに応じている)。
・検査の際、個人の趣味に関するものを見かけたとき、それを笑いのネタにすることは、住居の平穏を侵害されながら立入検査に応じている住人にとっては、非常に不愉快なものである。間接強制によってプライバシーを暴露させられている立会人の心情を考え、プライベートなものを見かけた際は、デリカシーを持って言動にもっと配慮するべきである。
  ちなみに、同室では、平成20年10月30日の立入検査においても、飛田検査官が「エッチな本」という言葉を使いながら、無差別大量殺人行為と明らかに関係のない物品、個人的な私物にまで関心を向けようとする姿勢が見られた。個人の趣味を笑われて不愉快に思ったという意見は、武藤検査官・飛田検査官に限らず、他の検査現場においても数多く聞くものなので、他の検査官においても、同様の配慮を心得るべきである(特に女性の部屋において)。
・女性の立会人に対して「○○さん何歳になるの?」と年齢を聞き、「女性に、ちょっと、聞かないでください」と指摘されると、「じゃあ帰って確認してもらわなくちゃいけなかったねー」と言った。女性に年齢を聞くという失礼な発言のみならず、さらに、その聞かれたくない個人情報は、本庁に戻れば調べられることをほのめかすとは、輪をかけて失礼である。
  なお、この女性信者は、以前にも別の男性検査官から、私物の生理用品を指差されて「これは何だ」と質問されるなど、検査官からの質問で不快な思いをしている。

 これらの言動には、今後、十分に配慮して立入検査に来ることを、武藤検査官に要請するとともに、他の検査官においても、同様の不適切な言動がないよう指導することを、貴庁に要請するものである。

 

 

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