平成22年3月1日
公安調査庁長官
北田幹直 殿
団 体 名 Aleph
抗 議 並 び に 要 請 書
本年2月5日に金沢道場(石川県金沢市●●)で行なわれた立入検査において、貴庁調査官が当団体出家会員の個人所有の車に傷をつけるという事故が発生した。当団体がかねてより抗議してきている、行き過ぎた検査の一環として起きた事故であり、厳重に抗議するとともに、被害の弁償を要請する。
事実経過は以下のとおりである。(添付のAによる陳述書も参照のこと)
(1)建物内の検査がひと段落した頃に、貴庁の本件立入責任者・木村清文氏ほか4名が、自家用車の検査をしたいとの旨、出家会員Aに申し出た。
(2)Aは、当該要請を受諾し、当該車両が停めてある駐車場(同市●●)に、前記の5名とともに赴いた。
(3)検査は、トランクルーム、運転席、助手席の順番で行なわれ、最後にボンネットを開けてエンジンルームも検査したい旨の要望があった。
(4)ところで、金沢では連日雪が降っていたため、積雪対策として一般的に行なわれるように、ワイパーは立てた状態であった。
(5)Aが、ボンネットのロックを運転席側から解除したところ、ボンネットのところに立っていた貴庁調査官・遠藤和則氏が、立ててあったワイパーを戻すことなくそのままボンネットを持ち上げ、ワイパーとボンネットが接触してガリガリと音を立てた。
(6)そこで、ボンネットとワイパーの双方に傷がついた。
(7)Aが即座に抗議すると、責任者の木村氏は「これくらい良いじゃない」という趣旨の発言をした。この発言に対して納得のいかなかったAはさらに弁償するよう要請した。
(8)しかし、その抗議・要請を、貴庁調査官らは真摯にとりあわなかった。遠藤氏は「ボンネットは開けなければよかったなあ・・・」と漏らしていた。
(9)遠藤氏の了承のもと、Aは傷の状態を携帯電話のカメラ機能で撮影し、貴庁のカメラ担当者も当該傷の箇所を写真撮影した。その後、当該車両の検査は終了した。
事実経過は以上であるが、この中にはいくつもの問題点がある。
(1)そもそも、ボンネットの中を検査する必要などない。遠藤氏が「ボンネットは開けなければよかったなあ・・・」と漏らしたというが、貴庁調査官が自認するとおりである。団体規制法7条2項に規定される立入検査は、令状主義を採用していない。その分、検査も抑制的に必要最小限度の範囲で行なわなければならないところ、かねてから指摘しているとおり、貴庁による立入検査は行き過ぎが目立つ。そこから今回のような事態も生じる。これにつき厳重に抗議するとともに、法3条「この法律による規制及び規制のための調査は、第一条に規定する目的を達成するために必要な最小限度においてのみ行うべきであって、いやしくも権限を逸脱して、思想、信教、集会、結社、表現及び学問の自由並びに勤労者の団結し、及び団体行動をする権利その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を、不当に制限するようなことがあってはならない。」の趣旨をわきまえた、必要最小限度での検査を行なうよう厳に要請する。
(2)また、遠藤氏は、Aがボンネットのロックを解除すると、Aの承諾を得ることなく、すぐさまボンネットを開けて今回の不祥事を引き起こしているところ、本来であれば、「開けてもいいですか」などと言って、立会人の承諾を得た後に、検査を行なうべきであった。このように検査を進める上において、基本的確認を怠ったことが、今回の不祥事を引き起こしたとも言える。このように基本的確認を行なわないで勝手に検査を進めるということは、本件車両検査に限らず、他の検査現場においても見受けられた。前記「必要最小限の原則」を遵守するためにも、あるいは、今回のような間違いを起こさないためにも、検査対象物に触れる際、開ける際などは、逐一、立会人に確認を行なった後に行なうことも、改めて強く要請するものである。
(3)行き過ぎた検査により出家会員の所有物を破損させることも言語道断であるが、それ以上に、事後対応に問題がある。責任者・木村氏は「これくらいいいじゃない」という趣旨の発言をした。他人の所有物を破損し、かつ、それが過失であるとの認識がある場合、本来であれば即座に謝罪し弁償を申し出たりするものだが、本件においては、そのような誠意ある事後処理が一切なかった。それどころか「これくらいいいじゃない」という発言を、こともあろうか、現場責任者が行なっている。他の4名もそれについて何の異議を呈することなく漫然と追随した。Aの抗議に対しても真摯に取り合わなかった。これが貴庁の組織的体質だとすると、重大な問題である。立入検査以前に、公務員としての自覚と最低限の倫理感すら欠如しているといわざるを得ない。
(4)また、本件立入検査終了後も、当団体から当書面を出すまでの間、1ヶ月近くもの時間があったにもかかわらず、貴庁から謝罪や弁償を申し出ることはなかった。これは、検査中に器物損壊が生じた場合においても、教団側が申し出ない限り原状回復・弁償するつもりがないという姿勢を示すものと言える。もし、当団体から言い出さなかったら、このままうやむやにするつもりだったのか。貴庁の事なかれ主義の組織体質に対して厳重な抗議を行なう。
この検査では、当初、立会人が一人しかいなかったにもかかわらず、複数の場所での検査を同時に行なうことを検査官が要望してきた。立会人の前ですら器物損壊をうやむやにしようとしているのだから、立会人のいない場所での検査など、到底受け入れることはできない。今後も、当方としては、かかる要望は、決して受け入れることはないので、その旨、承知されたい。
今回の不祥事について、今からでも、誠意ある対応をとることを要請する。具体的に要請することとしては、以下のとおりである。
(1)当団体及びAに対して謝罪を行なうこと
(2)事後対応が遅れた(もしくは全く対応する意思がない)理由は何か。当該事故発生以降、本件について貴庁がいかなる対応を行なおうとしたのか(あるいは、何も行なわなかったのか)について、経過説明を行なうこと。
(3)当該車両の破損につき、弁償を行なうこと
(同封の「概算見積書」にある金51982円を本書面到達から5日以内に、●●銀行●●支店 普通口座●● ●● まで振り込むこと)
以 上