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抗議並びに削除要請書

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2010年3月31日

警視総監
池田克彦殿

Aleph
運営委員会共同幹事(代表者)

抗議並びに削除要請書

 

 本年3月30日に警察庁長官銃撃事件(1995年3月30日発生)の公訴時効が成立したことを受けて、同日午前、貴庁は記者会見を開き、「事件はオウム真理教のグループが教祖の意思のもと、組織的・計画的に敢行したテロだった」と断定する見解を公表しました。貴庁はその中で、オウム真理教の麻原彰晃元代表を実名で名指しして事実上の首謀者と見なし、また、教団元信者ら8名についても匿名で示し、各人の行動や会話内容等を記した上で、本事件の「容疑グループ」と表現しています(「警察庁長官狙撃事件捜査結果概要」)。
  しかし、本事件は、実行犯はおろか、一人の容疑者すら特定するだけの証拠が得られなかったがゆえに、起訴に至ることなく、上記のとおり公訴時効が成立したものです。
  にもかかわらず、刑事手続に依ることなく、当事者らの反論の機会を封じたまま、特定の個人・団体を犯人視する見解を公表することは、およそ前例のない、職権を濫用した重大な人権侵害であり、関係者らの名誉を著しく毀損する行為といわざるを得ません。しかも、公表された見解のどこを見ても、麻原元代表や8人の元信者らが、本事件に関与したことを明確に裏付ける証拠や証言は、全く皆無です。
  そもそも、本事件については、容疑者不詳のまま「教団の組織的関与の可能性が高い」と見立てた貴庁による初動捜査の失敗が、当時の捜査責任者らによっても指摘されています。
  しかし、今回貴庁が公表した見解は、当初のこの見立てから一歩も抜け出ていないばかりか、さらにこれを断定的に結論づけたものです。これは、時効を迎えるに至ってもなお、本事件の捜査の過ちが警察内部で何ら教訓化されることなく、逆に正当化されていることを物語るものであり、社会に大きな禍根を残す結果になったというほかありません。
  さらに貴庁は、「公益性」を理由に上記見解を記者会見で公表したばかりか、貴庁のウェブサイト上に本日(3月31日)これを掲示し、1カ月にわたって一般にも公開するとしています。
  当団体としては、貴庁に対して、法令上の根拠を欠いた不公正な自己正当化に強く抗議するとともに、ウェブサイト上の当該記事を即刻削除し、取り返しのつかない人権侵害等をもたらす見解の公表を直ちに取りやめるよう、厳に要請します。
なお、貴庁において、速やかに適正な対処が見られない場合は、当団体として、必要な法的措置を検討せざるを得ないことを予め申し添えます。 

以 上

 

 

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