さて、ここまでは、2017年9月の東京地裁判決に即して、観察処分の対象団体がどのように特定されているのか(あるいは「されるべき」なのか)について見てきました。
 しかし、その際に用いてきた「Alephとひかりの輪が一体となった、一つの組織体」という表現は、今回の訴訟での裁判所による整理の仕方にならったもので、実のところ、これはあくまでも便宜上の表現に過ぎません。
 ほとんど知られていないことですが、観察処分の対象団体は、公安調査庁によって正しくは、「麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、同人が主宰し、同人及び同教義に従う者によって構成される団体」と特定されています。
 この長々しい名称は、観察処分を規定する団体規制法における「団体」の定義(=特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体)を意識したもので、上記の「オウム真理教の教義を広め、これを実現すること」が、ここでいう共同目的に当たります。
 これこそが、観察処分の真の対象団体です。
 重要なことですので、もう一度繰り返します。公安調査庁が観察処分の対象団体と位置付けているのは、

麻原彰晃こと松本智津夫
を教祖・創始者とするオ
ウム真理教の教義を広め
、これを実現することを
目的とし、同人が主宰し
、同人及び同教義に従う
者によって構成される団

という「団体」です。
 そして、公安調査庁によれば、この「団体」が、

→1990年代に無差別大量殺人行為(両サリン事件)を行ない、
→それを原因として2000年に観察処分の適用を受け、
→以後、2003、2006、2009、2012年と同処分を重ねて更新され、
→現在も、2015年に更新が決定された同処分の適用を受けている、

とされています。この間に起きた「オウム真理教」から「アレフ」への組織再編(2000年)や、アレフの退会者らによる「ひかりの輪」の設立(2007年)などは、あくまでも団体内部の「内輪の出来事」に過ぎず、「団体」としては、一貫して単一の組織体として活動を続けてきた、というのが公安調査庁の見方なのです。(続く)