次に、「②麻原尊師と、両サリン事件に関与した3名が現在も団体の構成員である」についてはどうでしょうか。
まず、麻原尊師については、すでに述べたとおり、2008年以降、家族や弁護士ですら全く接見ができておらず、外部と一切音信不通の状況にあるのですから、「団体」の活動に構成員として参加する実態など皆無です。
両サリン事件に関与した3名とは、確定死刑囚として東京拘置所に収監されている元オウム真理教信者のことです。麻原尊師と同様、「団体」の活動に参加する構成員としての実態は全く存在せず、また、Alephへの入会手続きを取ったこともありません。
この死刑囚3名については、旧オウム真理教当時から交流のあった一部の信者・元信者らとの間で、差入れや宅下げを通じた生活用品のやりとりのほかに、拘置所職員の立ち会いのもとで面会が行なわれています。これを公安調査庁は、「無差別大量殺人行為を行った団体」との接点として危険視しているのです。
しかし、それはあくまでも「死刑確定者の心情の安定に資すると認められる者」(刑事収容施設法第120条)として、公調・公安審と同じく法務省傘下にある拘置所の許可を受けた接見行為であり、団体活動とも無関係です。もし、それらの面会が「犯罪の実行を共謀し、あおり、又は唆すもの」(同第113条)に該当するようなものであれば、拘置所側の一存でいつでも面会を禁じることができるのです。法務当局において「心情の安定に資する」と認められて行なわれている面会を「無差別大量殺人行為に及ぶ危険性」にこじつけるというのは、あまりにもナンセンスといわざるを得ません。
このように、たとえ何も実態がなくても、ただ公安調査庁が構成員だと見なせば、一方的に構成員扱いされてしまうところが、団体規制法の恐ろしいところです。2017年の国会でいわゆる共謀罪を含む法案が可決されましたが、その際、野党などが強く懸念していた「(知らないうちに)一般の人が対象に」される構図は、発想(“犯罪行為の事前規制”)を同じくする団体規制法において、すでに現実のものとなっています。
そして、これまで常に水増しされてきた公安調査庁発表の構成員数を見る限り、麻原尊師や他の3名の死刑囚に限らず、何の実態も本人の自覚もない「構成員」が、実に数百名単位で存在すると思われます(詳しくは、過去の記事「「増える信者数」の謎謎謎」を参照してください)。【続く】