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被害者の方々への補償について

icon 2020年3月18日(水)

 2009年3月に宗教法人オウム真理教の破産手続が終了してちょうど11年になります。破産手続の終結に当たっては、破産管財人から民間の任意団体(オウム真理教犯罪被害者支援機構)に対して“無償の債権譲渡”が行なわれ、被害者の方々への配当業務が引き継がれたとされていました。

【参考】アレフによる過去の支払いの経過

 この任意団体は、2000年にアレフが破産管財人と交わした被害者救済のための合意を盾にアレフに対して破産手続同様の支払いを求め、2009年以降、アレフなどから4億円以上もの配当原資を手元に集めてきました。その一方で、アレフからの度重なる要請を無視して、10年以上もの間、一度も被害者の方々への配当を行なわず、これに対してアレフが送金を留保したところ、任意団体側は、2018年、“支払いの遅れ”を口実に約10億円の損害賠償請求訴訟を起こしました。

 アレフとの裁判の過程で、「11年間無配当」の事実が取り沙汰されるに及んで、この任意団体は、ようやく2019年6月、11年ぶりの配当に向けて512人の被害者の方々に通知を始める旨、マスコミに発表しました。

【参考】任意団体による配当実施の発表について

 ところが、今年(2020年)1月の報道によれば、被害者の方々512人のうち、141人分の約1670万円が未配当で、そのうち95人については配当のめどが立っていない、と伝えられています【2020年1月23日付朝日新聞】。

 5年前の時点で、「2、3割(≒102〜154名に相当)で連絡が取りづらくなっていた」【2015年3月21日付産経新聞】とされ、2年前の時点では、「郵便が届かない被害者も1割(≒51名に相当】以上いる」【2018年7月7日付朝日新聞】と報じられていたことからすれば、このような結果は、任意団体側には当然予想できたはずです。

 さらに、今回の配当に充てられるとされる約3億5000万円は、実は2017年には既にこの任意団体の手元に集まっていました。過去の破産手続では計4回の配当が実施され、配当額はそれぞれ第1回=約9億6千万円、第2回=約3億4千万円、第3回=約1億7千万円、第4回=約8千万円でした。十分配当可能な金銭が手元にあったにも関わらず、なぜもっと早期に配当を実施しようとしなかったのでしょうか。

 結果的に、被害者の方々に配当を届けることができなかった場合、その金銭は、今後この任意団体の手元に残ることになります。配当できずに手元に残る金額や将来的におけるその取り扱いについて、アレフは裁判で説明を求めましたが、任意団体側はこれを黙殺しました。

 そればかりか、裁判の中でこの任意団体は、破産管財人から引き継いだはずの配当業務について、委託者(出資者)に当たるアレフに対してはその義務を明確に否定し、受益者である被害者の方々に対してすら、配当する義務を認めていません。これは、アレフが破産管財人と合意した被害者救済の趣旨を完全に踏みにじるものです。

 任意団体では、新型コロナウイルスの影響で3月の定例集会の開催を見合わせたようですが、被害者支援機構を名乗るのであれば、配当をめぐる数々の疑問に対して公的に説明する義務があります(ちなみに、11年ぶりに配当を実施した直後であるはずにもかかわらず、3月に予定されていた集会の講演題目は『マインドコントロールの怖さ』であり、“被害者救済”の文字はどこにも見当たりませんでした)。

 任意団体側は、自身が行なったと称する配当の詳細について、現在に至るまで一切公表をしていません。アレフとしては、任意団体側が実施を発表した配当手続の経過と結果を速やかに公表し、自らの責任を果たすことを強く求めるとともに、今後も、被害者の方々への満額の配当の実現を目指していきたいと思います。

【参考】破産業務を引き継いだ任意団体に多額の賠償原資が留保されてきた経緯

 

3月20日に際して

icon 2020年3月19日(木)

 95年3月の地下鉄サリン事件から今年で25年を迎えます。オウム真理教の流れを受け継ぐ団体として事件を重く受け止め、立場を問わず、一連の事件に関係して亡くなられたすべての人たちに対して深く哀悼の意を捧げ、改めてご冥福をお祈りいたします。また、一連の事件の被害者の方々に対する補償については、これからも継続していく所存です。

※被害者の方々に対する補償についてはこちらをご覧ください

 

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