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拡張される団体規制〜「構成員不詳」「主宰者不在」の架空団体への観察処分[1-(1)]

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1.団体の「不特定性」と「拡張性」

(1)だれも知らない観察処分の対象「団体」

 今回更新決定された観察処分には、まず、対象とされる「団体」の特定自体に大きな問題が存在しています。
 一般にはほとんど知られていないことですが、この観察処分の対象となっている団体は、

「麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め,これを実現することを目的とし,同人が主宰し,同人及び同教義に従う者によって構成される団体」

とされています。しかし、この団体名が正確にマスコミで報道されたことは、これまで皆無です。
 報道では、対象団体を漠然と「オウム真理教」、あるいは「Alephとひかりの輪」などと表現されるのが通例となっています。

【資料@】今回の更新決定時の各報道に見る対象団体の表現

「団体規制法に基づくオウム真理教に対する観察処分の更新」(共同通信)
「団体規制法に基づくオウム真理教(現アレフ)に対する観察処分」(時事通信)
「団体規制法に基づくオウム真理教に対する観察処分」(読売新聞)
オウム真理教(現アレフ、ひかりの輪の2団体)に対し…観察処分の期間を更新」(産経新聞)
「団体規制法に基づくオウム真理教(アレフに改称)に対する観察処分」(毎日新聞)
『オウム真理教』への観察処分」(朝日新聞)
オウム真理教(アレフに改称)に対する団体規制法に基づく観察処分」(日本経済新聞)
『オウム真理教』から名前を変えた『アレフ』など2つの団体に対し…観察処分をさらに3年間更新」(NHK)
『オウム真理教(現・アレフ)』に対する団体規制法に基づく観察処分」(日本テレビ)
オウム真理教に対する団体規制法に基づく観察処分」(フジテレビ)
オウム真理教から改称した『アレフ』とアレフから分裂した『ひかりの輪』の双方が処分の対象」(テレビ朝日)


 しかし、対象とされる「団体」を単純にこのように表現してしまうと、この法律の重大な問題点――対象団体の不特定性と拡張性――を見誤ることになります。

 この法律における「団体規制」の際立った特徴は、既存の団体を直接的に規制対象として名指しするのではなく(例えば、「オウム真理教」あるいは「Aleph」とかというかたちで)、「団体」を包括的・概念的に規定することでその特定性を曖昧にしている点にあります。つまり、法律を運用する側の解釈次第で、いくらでも拡張解釈が可能になっているのです。

 

 

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