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抗議並びに要請書

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平成22年6月11日

公安調査庁長官
北田幹直 殿

            団    体    名  Aleph
           主たる事務所の所在地 埼玉県越谷市■■●-●-●

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抗 議 並 び に 要 請 書

 本書面は、本年4月20日に当団体・横浜道場(横浜市)で行なわれた立入検査に関する抗議並びに要請を行なうものである。

1.違法の疑いがある車両検査

本件立入検査において、貴庁の検査官が、横浜道場と別住所に所在する駐車場において、車両検査を行おうとしたが、未遂に終わるという一幕があった。事実経過は以下の通りである。

(1)貴庁の近藤敏弘検査官が、立会を務めていた当団体法務担当Aに対して「車両検査をしたい」と言ってきた。
(2)当該車両が置いてある駐車場は横浜道場の住所とは違うところ、Aは駐車場の所在住所を検査官が当然把握しているはずだと考えて、「駐車場の住所を言って下さい」と近藤検査官に言った。
(3)近藤検査官は、「■■●丁目、駐車場番号▲番」としか答えられず、駐車場の正確な住所を特定することができなかった。
(4)Aは、横浜市の地図を見せて、「●丁目はこれだけの範囲があるのだから、その中で駐車場番号▲番と言われても困る。本当に公安審査委員会に通報しているのか?」と、団体規制法施行規則2条に規定される公安審査委員会に対する立入検査の事前通報義務について近藤検査官に質問した。
(5)近藤検査官は、「確かに事前に通報している。しかし、把握しているのは、今外にいるパソコン検査担当の検査官だから訊く」と回答した。
(6)Aは「あなたの部下の、しかもパソコン担当の検査官が住所を知っていて、責任者クラスのあなたが知っていないというのはおかしいのでは?」とさらに質問した。
(7)近藤検査官は、そのパソコン担当者に電話をかけるも、結局、駐車場の住所が分からず、本庁と電話で話し始めた。
(8)近藤検査官は、最後に「事前に通報したのは確かだが、今の状態で、検査を行なうと、そちらに迷惑がかかるから、今日の車両検査は無し」と不可解な理由を述べて、一転して、急遽、車両検査の実施を中止した。

 このやりとりにおいて浮き彫りになった貴庁の対応には、大いに問題があると言わざるを得ない。

 団体規制法に規定される立入検査においては、令状主義が採用されておらず、貴殿が「団体の活動状況を明らかにするために特に必要があると認め」たならば(法7条2項)、何の司法審査も経ずして、立入検査が敢行できる法構造となっている。

 その中にあって、団体規制法施行規則2条に規定される公安審査委員会に対する事前通報義務は、間接強制と言われる立入検査が濫用にわたることを防ぐための唯一の担保であるということができる。

 しかしながら、近藤検査官が事前通報したと言いながら、最後までAに対して正確な住所が答えられなかったこと、実際に車両検査が行なわれなかったことからして、果たして本当に事前通報が行なわれていたのかどうか、疑念を生じさせざるを得ない。もし仮に、事前通報が行なわれていなかったとするならば、Aが指摘しなければ違法に検査が行なわれていたことになるのであり、「唯一の担保」が蔑ろにされていたことになる。

 また、近藤検査官が言うとおり、事前通報を行なっていたのだとしても、住所の指定は正確に行なわれなければならず、もし不正確な住所が通報されていたとするならば、検査場所の特定ができていなかったということになり、無効な通報であり、検査不能である。その場合、検査不能であるにも関わらず、Aが指摘しなければ検査が強行されていたことになるのであり、これも重大な問題である。しかし、近藤検査官の対応を見る限り、こうした重大な問題が生じていたのではないかという疑念が拭えないのである。

 まず、これらの疑いを生じさせるような検査を行なったこと自体が、厳重なる抗議に値する。また、かかる疑いを払しょくするために、以下の要請を行なう。

@本件立入検査に関する事前通報文書を開示し、事前通報が行なわれていたこと、また、そこにおいて正確な住所が指定されていたことを明らかにされたい。
A過去の立入検査について、正確な事前通報なくして、あるいは、事前通報そのものが行なわれずして、なされた検査がなかったのかどうかを検証し、その検証結果を当団体に明らかにされたい。
B今後の立入検査においては、現場検査官が、検査対象の正確な住所を、きちんと把握するようにされたい。
C本件立入検査は、「特に必要があると認められ」たからこそ検査対象となったはずなのに(法7条2項)、「迷惑がかかるから」といった理由で検査を行わなかったのはなぜか。今後、「迷惑がかかる」を理由に検査を取りやめること(あるいは、やめさせること)は可能か。これらの疑問につき明確に回答されたい。

 以上の要請に対して、貴庁は真摯に対応すべきである。

2.公務員倫理を逸脱した検査官の言動

本件立入検査において、貴庁検査官の少なくとも2名が、酒気帯びで検査に訪れ、更にそのうちの1名がガムらしきものを噛みながら検査を行なっていた事実について、厳重に抗議するとともに、適切な対応を要請する。事実経過は、以下のとおりである。

(1)本件検査の開始時に、当該建物の1階道場部分に検査官全員が集まったところ、酒気の匂いが道場全体に充満していた。

(2)そこで、当団体の立会人は、漂ってくる匂い、顔色や酒酔いの雰囲気などから、少なくとも図面の検査に訪れた田中元検査官と斉藤薫検査官の2人が、明らかに酒気を帯ながら検査に臨んでいることを特定した。2人だけで酒の匂いが道場全体に充満するとは思えないので、他にも酒気を帯びた検査官がいた可能性はあるが、ここでは立会人が明らかに特定できた上記2名についてのみ言及するものとする。

(3)このうち田中元検査官は、立ち会ったAによると、1階の事務所を検査していた時に、立会人が教材等が入った箱を開けたところ、その中身を確かめることもなく、「爆竹じゃないか?」と何の脈絡もなく発言するなど、酒気帯びが原因と考えられる不適切な言動があった(冗談めいたしゃべり方だったので、実際に爆発物が見つかったという意味でないことは誰が聞いても明らかであり、周囲に居合わせた検査官でさえ、この発言を本気で取り合う者は皆無であった)。

(4)また、もう一方の斉藤薫検査官は、検査開始時からずっとガムらしきものを噛みながら検査を行なっていたところ、この行為について「公務員として不適切ではないですか?」とAが指摘すると、同人は、「これは薬です」と答えた。

(5)それに対して疑問に思ったAが更に「クチャクチャ噛むような薬が存在するのですか?」と追及すると、同人は、「これはニコチン中毒用のもので、神奈川県では先に条例が施行されて、タバコを吸いにくくなったから」と理由にならない弁明に終始した。なお、同人の言う条例とは、平成22年4月1日に施行された「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」のことと思われるが、これは店舗などの公共的な空間に関する条例であり、公務員が職務中にガムを噛んでよい理由にはなりえない。

(6)抗議を受けた斉藤薫検査官が行動を正そうとしないので、次にAは、すぐ横で様子を見ていた現場責任者の斉藤宣介検査官に「斉藤さんはこのようにガムらしきものを噛んでいるのですが、本当にいいのですか?」と尋ねた。すると、斉藤宣介検査官は、「野球選手はガムを噛んで集中力を高めるからいいんだ」と説明し、噛んでいたものがガムらしきものであることを認め、更にその行為を問題視することなく肯定した。

(7)その後、斉藤薫検査官は、Aに対して、しつこいね、あんたなどと言い、自らの非常識な行為を認めず、更に最後にはガムらしきものを飲み込んでしまい、「もう飲み込んだから」と言った。

(8)それに対して、Aが「飲み込んだということはその行為を良くないことだと思ったからなのではないですか?」と追及すると、それ以上、斉藤薫検査官は、何も答えることができなかった。

(9)Aは改めて、「その行為を、公安調査庁としてどう思うのか?」と、高橋真検事や、橋本孝雄検査官、近藤敏弘検査官といった責任者クラスの検査官に尋ねたが、皆一様に黙りこくり、職務中にガムを噛む行為を問題視することなく、斉藤薫検査官に対して反省を促すことすらしなかった。

 これら田中元検査官と斉藤薫検査官、及び責任者たる斉藤宣介検査官の言動は、立入検査に来る国家公務員たる検査官として、明らかに不適切である。
  酒気を帯びた検査官が適切な検査を行なっているとは言いがたく、また、検査官が職務中にガムを噛むことは、社会人として最低限のモラルを守ることができていないと言わざるを得ず、あってはならないことである。
  最近でも、地方公共団体の職員が、ガムを噛みながら一般市民に対応して処分を受けたことが報道されている。

◎大阪市職員61歳、ガム噛み窓口対応 厳重注意処分
  大阪市中央区役所の男性職員(61)が、税証明の発行窓口でガムを噛みながら市民に対応したとして、口頭で厳重注意処分を受けていたことが18日、分かった。処分は8日付。同区役所は「社会人として守るべき最低限のモラル。あってはならないこと」としている。
  大阪市によると、処分を受けたのは定年退職後に再任用された職員。今月4日、同区の男性が法人市民税を納めるために税証明窓口を訪ねたところ、この職員がガムを噛みながら対応したという。
  男性はその場で気付き、上司を呼び出して抗議。さらに「職員の顔が赤い。ろれつも回っておらず飲酒していたのでは」と指摘した。しかし、職員は飲酒を否定し、「1年前から禁煙中で、たばこを吸いたくなったのでガムを噛んだ」と説明したという。
  区役所幹部は「事情を聴いた際にもアルコールのにおいはしていない。市民に叱責(しっせき)されてしどろもどろになったと思う」と話している。

(産経新聞 2010年1月19日付)

  本件は、まさに上記の事例に相当するものである。田中元検査官と斉藤薫検査官のなした言動は、「社会人として守るべき最低限のモラル」が貴庁において守られていない実態を表しており、近年、公務員の規律に対する国民の目が厳しくなっている情勢を鑑みても、厳しい批判を受ける言動であることは論を待たない。
  また、国家公務員法99条「職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」に触れ、同法82条の懲戒規定のうち第3項「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」に該当するので、何らかの懲戒処分に値することは間違いない。

 さまざまな人権侵害が指摘される観察処分においては、人権に対する十分な配慮が求められることは公安審査委員会が指摘するとおりであり、立入検査を行なう公安調査庁の職員は、区役所の窓口職員以上の行動倫理規範が求められることを、貴庁は強く認識すべきである。

 付言するに、当団体は、飲酒を強く戒める教義を有する宗教団体である。また、建物内は道場を中心に神聖な空間とされており、こと道場においては、そもそも飲食自体が禁じられていることは、貴庁も調査して把握しているはずである。そのような建物に立ち入っているということを十分に勘案し、酒、タバコ、ガム、などに関する配慮を徹底することを要請する。

 貴庁においては、両名の言動を調査したうえで、厳正な処分を行なうとともに、今後、このような明らかに公務員としての適格性を欠いた言動がないように、各検査官への教化・指導を徹底するよう要請する。

 また、現場の検査に対して責任を持つ斉藤宣介検査官の言動に対しても、きちんと調査されたい。同検査官のみならず、他の責任者クラスの検査官においても、公務員としての行動倫理を再確認し、責任者の取るべき言動というものを貴庁として適切に指導・教化した上で、検査官において、社会人としての最低限のモラルすら弁えることなく公務員倫理を逸脱した言動が見られた場合には、現場で速やかに厳正な措置を取るよう要請する。

 尚、酒気を帯び、ガムを噛みながら立入検査が行なわれた模様を撮影したビデオ映像については、現時点での公開は差し控え、当面貴庁の対応を注視したいと考えるが、Aが検査中に斉藤宣介検査官に言明したとおり、モラルを逸脱した検査が行なわれたという事実そのものは、近く当団体のホームページにて公開する。

3.早過ぎる検査開始時間

本件立入検査は、早朝の6時35分に開始された。昨年の11月15日付「抗議並びに要請書」でも述べたとおり、早朝5時台、6時台の検査開始は、まだ就寝している者が多く、一般通念からしても非常識な開始時間である。平穏な睡眠を打ち破られ、睡眠不足のまま、朝の身支度や食事すらできない状態で、長時間にわたる検査協力を事実上強要されることは、住居の平穏を害する重大な人権侵害である。

 前記「抗議並びに要請書」の内容を繰り返すが、立入検査の行なわれる時間帯は常識的な範囲内に留めるべきである。開始時刻は、早くても8時台にすべきであり、早朝6時35分の来訪には強く抗議するものである。開始時間を数時間ずらしただけで、立入検査の目的が達せられないとは到底考えられない。住人の健康維持を含む様々な人権の保護の観点から、この要請には真摯に対応するよう厳に要請する。

 

 

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