観察処分取消「一部勝訴」判決と観察処分更新請求について
(その4)対象は「Aleph」と「ひかりの輪」だけではない

 さらにいえば、公安調査庁が調査対象と位置付けるこの「団体」は、「Aleph」と「ひかりの輪」という2つの団体だけで構成されているわけではありません。
 公安調査庁によれば、「ケロヨンクラブ」や「人権救済基金」と称する他の小グループや、いずれの団体・グループにも属さない構成員など併せて数百名のいわゆる「脱会者=元信者」らが、「その余の構成員」として、Aleph・ひかりの輪とともに一体の「団体」を構成しているとされているのです。このほかにも、「ロシア連邦内の信徒」というカテゴリーの構成員が、やはり数百名存在するとされています。
 これら諸々ひっくるめて、単一の組織体を構成する観察処分の対象団体として、

麻原彰晃こと松本智津夫
を教祖・創始者とするオ
ウム真理教の教義を広め
、これを実現することを
目的とし、同人が主宰し
、同人及び同教義に従う
者によって構成される団

が、かつて存在し、今も尚存在する――これが、この「団体」を規制する側に立つ公安調査庁の考え方です。
 最近の報道によれば、本年(2017年)11月中にも予定されている6回目の観察処分更新請求では、2015年初頭にAlephから退会した元信者らのグループが、「山田らの集団」として新たに対象団体に組み込まれるとのことです。
 こうして見ると、「Alephとひかりの輪が一体となった、一つの組織体」という言い方は、あまりに簡略に過ぎ、かえって現実を覆い隠してしまっているといわざるを得ません。事態はより複雑なのです。
 そもそも組織的なつながり(結合性)などなく、むしろ相反関係にある団体やグループ同士を一体のものに仕立て上げ、さらに、そこからこぼれ落ちたはずの多数の脱会者らをもひっくるめて、あたかも単一の団体が存在しているかのように見せかけているだけではないか。――今回の裁判でAlephが主張した「架空団体論」は、このような認識に基づいて、実は10年近くも前から訴え続けてきたものでした。(続く)

観察処分取消「一部勝訴」判決と観察処分更新請求について
(その3)観察処分、真の対象団体とは?

 さて、ここまでは、2017年9月の東京地裁判決に即して、観察処分の対象団体がどのように特定されているのか(あるいは「されるべき」なのか)について見てきました。
 しかし、その際に用いてきた「Alephとひかりの輪が一体となった、一つの組織体」という表現は、今回の訴訟での裁判所による整理の仕方にならったもので、実のところ、これはあくまでも便宜上の表現に過ぎません。
 ほとんど知られていないことですが、観察処分の対象団体は、公安調査庁によって正しくは、「麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、同人が主宰し、同人及び同教義に従う者によって構成される団体」と特定されています。
 この長々しい名称は、観察処分を規定する団体規制法における「団体」の定義(=特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体)を意識したもので、上記の「オウム真理教の教義を広め、これを実現すること」が、ここでいう共同目的に当たります。
 これこそが、観察処分の真の対象団体です。
 重要なことですので、もう一度繰り返します。公安調査庁が観察処分の対象団体と位置付けているのは、

麻原彰晃こと松本智津夫
を教祖・創始者とするオ
ウム真理教の教義を広め
、これを実現することを
目的とし、同人が主宰し
、同人及び同教義に従う
者によって構成される団

という「団体」です。
 そして、公安調査庁によれば、この「団体」が、

→1990年代に無差別大量殺人行為(両サリン事件)を行ない、
→それを原因として2000年に観察処分の適用を受け、
→以後、2003、2006、2009、2012年と同処分を重ねて更新され、
→現在も、2015年に更新が決定された同処分の適用を受けている、

とされています。この間に起きた「オウム真理教」から「アレフ」への組織再編(2000年)や、アレフの退会者らによる「ひかりの輪」の設立(2007年)などは、あくまでも団体内部の「内輪の出来事」に過ぎず、「団体」としては、一貫して単一の組織体として活動を続けてきた、というのが公安調査庁の見方なのです。(続く)

観察処分取消「一部勝訴」判決と観察処分更新請求について
(その2)「2団体一体論」VS「架空団体論」

 もともとAlephとしては、今回の取消訴訟を提起するに当たって、

「Alephとひかりの輪が一体となって一つの組織体を構成しているという「2団体一体論」はフィクションである。そのような組織体は実在しない架空の団体に過ぎず、よって処分は無効である」

という「架空団体論」を主張し、観察処分全体の取り消しを訴えていました(一方のひかりの輪は、2015年に決定された観察処分のうち、「ひかりの輪を対象とした部分」についての取り消しを求めていました)。
 東京地裁は、この「2団体一体論」に立った公安審査委員会側の論拠を一つ一つ検討した上でこれを退け、Alephとひかりの輪が「一つの組織体」であると評価することはできないと認定しました。その一方で、Alephが「対象団体の少なくとも一部を構成する」ことを否定せず(つまり「架空団体論」にまでは踏み込まず)、Alephへの処分はそのまま是とし、結果として、ひかりの輪にかかった処分(のみ)を取り消しました。
 要するに、「2団体一体論」の虚構性を指摘して観察処分全体を取り消すよう求めたAlephの請求に対して、判決は、「架空団体論」を部分的に採用して、処分全体ではなく一部(ひかりの輪部分)の取り消しを認めたという意味で、Alephにとって「一部勝訴」というわけです。
 公安審査委員会は、今回の東京地裁の判決を不服として、ひかりの輪のみならずAlephに対しても控訴しました。これは、公安審査委員会から見ればAlephに対して「一部敗訴」したからにほかなりません。2007年にAleph退会者の一部がひかりの輪を発足させて以降、「2団体一体論」を前提に観察処分を更新し続けてきた公安審査委員会としては、10年前に遡って、10年間にわたる過ちを指摘されたことになるわけですから、両者いずれに対しても、何としても覆さねばばらない判決ということになるのでしょう。(続く)

観察処分取消「一部勝訴」判決と観察処分更新請求について
(その1)Aleph、再び「一部勝訴」す

 2015年に公安審査委員会が決定した観察処分の取り消しを求めてAlephが公安審査委員会を訴えた裁判で、2017年9月25日、東京地方裁判所は、Alephの請求を一部認める判決を下しました。一審判決に限っていえば、2011年に判決のあった前回の取消訴訟(観察処分に基づく教団側の報告義務について一部取り消しが命じられた)に続いて、2回連続の「一部勝訴」ということになります。
 ただ、今回の判決は、Alephとは別に同様の取消訴訟を提起していた『ひかりの輪』への観察処分の取り消しを認めた一方、Alephについては処分の取り消しを認めたわけではありません。
 それなのに、なぜAlephの「一部勝訴」なのでしょうか。
 今回の判決が、ひかりの輪への観察処分を違法としてこれを取り消した理由は、「Alephとひかりの輪が一つの団体と認めることはできない」というものです。もともと現在の観察処分は、2000年に決定された3年間の観察処分(原決定)を、漫然とあたかも運転免許証のように、2003年、2006年、2009年、2012年、2015年と5回にわたって更新を重ねてきたものです。この2000年当初の原決定時の対象団体が単一の団体だったため、公安審査委員会はその後の更新に際してこれを踏襲し、前回2015年の更新決定時
も、「Alephとひかりの輪が一体となった、一つの組織体」という認定をしていました。
 今回の訴訟の最大の争点となり、結果的に判決において退けられたのは、この「2団体一体論」でした。つまり、観察処分を更新するための前提条件ともいうべき「対象団体の特定の仕方」に根本的な欠陥を認めたわけです。(続く)

「増える信者数」の謎謎謎

前回の記事(「増える信者数」の謎謎)で、公安調査庁が「教団信者が増えている」と思わせるために行なっている印象操作として、「入信者」のからくりを取り上げました。今回は、「退会者」のからくりの話です。
 
 公安調査庁は、新規入信者数の発表とは別に、「観察処分の『被処分団体』の構成員数」の発表を行なっています。
 実は、一般には全くといっていいほど知られていないことですが、団体規制法に基づく観察処分の対象となっている団体、すなわち『被処分団体』は、正式には、
 
 『麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、同人が主宰し、同人及び同教義に従う者によって構成される団体』
 
と称されています。観察処分の決定書にはしっかりとこの名称が記載されています。Alephに送られてくる書面も、封書いっぱいにこの長大な団体名が記されています。

公安調査庁からの封書

 ところが、この団体名が正確にマスコミで報道されたことは、実はこれまで皆無です。報道では、対象団体を漠然と「オウム真理教」、あるいは「Alephとひかりの輪」などと表現されるのが通例となっています。しかしこれは正しくないのです(詳しくは、「だれも知らない観察処分の対象『団体』 」を参照してください)。
 そして、この『団体』には、
 
  ①「Aleph」という集団名を称して活動している構成員
  ②「ひかりの輪」という集団名を称して活動している構成員
  ③その他の構成員
 
という3タイプの構成員が存在しているとされています。
 ①と②は、それぞれAlephとひかりの輪の会員のことを指しています。
 わかりにくいのが「③その他の構成員」です。これは、「オウム真理教」「Aleph」「ひかりの輪」からの退会者のうち、公安調査庁が「本当は辞めていない。実際は団体構成員である」と認定をした人たちのことを指します。観察処分取消訴訟で、国が裁判所に提出した書面から定義を引用するならば、③とは、
 
「かつて『アレフ』、『アーレフ』の名称を使用して活動していた集団に明示的に加入していた構成員らで、現在は、原告(※Aleph)や『ひかりの輪』とは一定の距離を置いて活動している者ら」
 
のことです。
 長くなりましたが、以上が前置きです。
 さて、これら3タイプのメンバーで構成される観察処分の「被処分団体」について、2013年、公安調査庁は、その構成員が150人増加したと発表しました。3タイプのうち、どれが増えたのでしょうか。
 
 前々回の記事(「増える信者数」の謎)にも書いたとおり、2013年、Alephの会員数(上記の①)は微減しており、その傾向は現在も続いています。

【11月時点の比較】
 ・2012年 1216名
 ・2013年 1197名

【2月時点の比較】
 ・2013年 1214名
 ・2014年 1196名
 
 一方ひかりの輪(上記の②)は、公安調査庁の発表によれば、2013年は「約200人で横ばい」とされています。
 ということは、2013年に「150人増加した」のは、Alephやひかりの輪の会員(上記の①②)ではなく、公安調査庁が「観察処分の対象者」として新たにリストアップされた退会者たち(上記の③)だったことになります。
 
 前回の記事(「増える信者数」の謎謎)では、新しい「入信者」によってAlephの会員が増えているかのように思わせる印象操作のからくりを解説しました。公安調査庁は、そのからくり仕掛けで人目を惹き付けながら、その裏で、過去の「退会者」の数字をこのように操作して、こっそり上積みをしていたのです。
 つまり、「増加した構成員150人の内訳は、新しい『入信者』ではなく過去の『退会者』である」という、実に奇怪な話だったという訳です。
 記事タイトルの「謎」はどんどん増えていますが、だんだん謎が解けてきたようです。
 
 
 

「増える信者数」の謎謎

 公安調査庁は、どうも「教団信者が増えている」と思わせるための印象操作をあえて行なっている節があります。その一つが、「新規入信者」に関する発表です。
 特に、最近のマスコミ報道でもしばしば引用されるのが、「2012年の新規入信者数は、2000年以降最多の255人」というもの。
 今年1月に放送されたテレビ東京の「オウム・平田信 初公判特別番組」でも、公安調査庁発のこのデータが取り上げられました。

大橋未歩アナウンサー「実はこちらに衝撃的な数字があるんです。平田信被告、菊地直子被告、高橋克也被告が逮捕された2012年にAlephに入信した人の数は200人を超えているんです。これは2000年以降で過去最多となりました。平田被告たちが逮捕されてオウム事件が再びクローズアップされたその年に、もっとも多くの人がオウムの後継団体に入信したこの現実をわたしたちはどう受け止めればよいのでしょうか。」

大浜平太郎キャスター「本来は減るんじゃないかという期待もあったんですが、逆に増えているんですね。」

 報道番組のメインキャスターが、「入信者が減るんじゃないかという期待もあった」とまで言い切ったことには正直驚きました。番組の進行役として、少なくとも立場上は公正中立に振る舞うべき人物に、まるでワイドショーのコメンテーターのような「期待」を口にさせるほど、このニュースはセンセーショナルに扱われがちです。
 この数字はおそらく、Alephが、教団に所属する会員について定期報告(2月、5月、8月、11月の年4回)している資料を公安調査庁がその都度つき合わせ、新規分を合計して発表しているのでしょう(ごく単純な、引き算と足し算です)。
 しかし、ここにまやかしがあるのです。

 うっかりすると見過ごしがちですが、ここでいわれているのは、あくまでも「新規入信者」の数であって、教団全体の「会員総数」ではありません。
 宗教団体であれ何であれ、新規に組織に入ってくる人がいれば、逆に離れていく人もいます。 新しく入ってきた人の分だけ組織がどんどん膨張していくわけではなく、入会者がいれば当然退会者もいるのが常です。特に、地域単位や家族単位で伝統宗教に帰属する諸外国と異なって、多くの宗教が入り乱れ並び立つ日本では、宗教団体を渡り歩くいわゆる“宗教遍歴”を重ねる人が少なくありません。新宗教、新々宗教と称される宗教団体にはこのような傾向がより顕著です。
 ですから、実際に会員数が全体として増えているのかどうかについては、入会者数から退会者数を差し引かなければ、実際のところはわかりません。差し引きがプラスであれば、その分会員は増えたことになりますし、逆にマイナスであれば、その分会員は減ったことになります。つまるところ、「新規入信者」の数が、教団の規模や実状を正確に反映しているわけではないのです。

 これを商売にたとえると、わかりやすいかもしれません。つまり、あるお店で売れた商品の売り上げだけを合計してそれを利益だと錯覚させているようなものなのです。商品を店頭で販売するためには、当然、それまでに仕入れ原価やその他の諸経費が掛かっているわけですから、これらを差し引かずに単に売り上げの数字だけを見ても、ほとんど意味が ないことはいうまでもありません。
 もう十数年も前のことですが、公安調査庁が、「教団関連のパソコンショップの年間の売り上げが60億円」と喧伝していたことがありました。そのときはまさに、薄利多売の事業の「売り上げ」だけを取り上げることで経済力を目一杯大きく見せ、それによって教団の危険性を煽っていたわけです(最近は公安調査庁も少し手が込んできて、たとえば「流動資産」という、一般には馴染みのない会計上の数字を持ち出してきて、“潤沢”な教団イメージの形成に寄与しています)。

 信者数にしても資産にしても、これらを豊かな想像力で過大に印象づけるための公安調査庁の数字のトリック、あるいは言葉のレトリックが使われており、それがマスコミに流通していることは指摘しておきたいと思います。
  
 
 

「増える信者数」の謎

「信者数が増えているそうですね」と最近よく言われます。
「そうなんですかー」と他人事のように答えると、非常に怪訝そうな顔をされます(それはそうだ)。
しかし、身の回りを見渡しても、もう十数年来、同じ顔ぶれの面々がいつもと同じように仕事し、いつもと同じように修行しているだけ。どうも実感がありません。
「だれがそんなことを言っているのですか?」と尋ねると、テレビでやってましたよ、とか、新聞に出てましたよ、という答えが返ってくるのはいつものパターン。どうも最近のAleph報道の一つの定型のようです。そういえば、中小企業向けの財界誌に「教団にはスゴ腕の勧誘マンがいるらしい」と書かれたこともありました(業績アップのお手本にせよ、という趣旨か?)。

しかし、マスコミでいわれているほどAlephの会員数は増えてはいません。それどころか、昨年(2013年)を振り返ると、むしろ減っているのです。
Alephは、教団に所属する会員について年4回(2月、5月、8月、11月)、公安調査庁に対して定期報告をしています。
1年間で最後の報告となる11月時点の会員数を比較すると、

・2012年 1216名(11月1日時点)
・2013年 1197名(11月1日時点)

となっており、昨年1年間で19人減っているというデータが出ています。
最新の報告である今年2月の会員数を昨年の同時期と比べてみても、

・2013年 1214名(2月1日時点)
・2014年 1196名(2月1日時点)

で、やはり1年間で18人減です。
Alephの会員には、①共同生活を送りながら1日24時間を仏道修行に当てる出家会員と、②社会生活を送りながらその合間に最寄りの道場で修行する在家会員、という2つの区分がありますが、この1年間を見ると、この①出家、②在家ともにその数は減少しているのです。

これはなかなか奇妙なことです。
公安調査庁への定期報告は、団体規制法の観察処分に基づいて法律で義務付けられたものです。もし報告内容に不備等があれば改善指導があったり、場合によっては重い活動規制(再発防止処分)を受けることもあります。
しかし、昨年公安調査庁から、会員報告の数が少ないとか間違っているとか指摘を受けたことは一度もないのです。
ところが、です。マスコミが伝える「信者数が増えている」という情報の出所は、いつも決まって「公安調査庁によると、…」「公安調査庁の調べでは、…」なのです。
これはますます不可解です。

宗教団体ではよく、「公称」といわれる信者数がその団体から発表されます。公称とは「表向きいわれていること」という意味ですが、実際よりかなり水増しをされているのが常です(機関誌の発行部数をそのまま信者数としてカウントしているという話もあります)。これに対して、第三者がその水増し分を割り引いて「実勢」を計り直すことによって、はじめてその教団の実サイズが浮かび上がってきます。
Alephの場合は、奇妙なことに、これがちょうど逆転しています。公安調査庁という教団の監督官庁ともいうべき公的機関が、「公称」すなわち水増し数字を発表しているかのようです。
一体どういうことでしょうか。(続く)
 
 
 

「奪還」4(「100%×10」)

1月21日、平田信被告の第4回公判に中川智正死刑囚が証人として出廷しました。尋問が予定されている3人の死刑囚のうちでは最初の証人です。
同じ東京拘置所で生活する2人は、特別仕様の護送車2台に別々に乗せられ、刑務官数百人、機動隊員数百人が各所で警備警戒に当たる中、マスコミの隊列を縫うように東京地裁に運ばれ、大きな防弾パネルが設置された法廷の柵の中で、隣り合わせることになりました。証人席は、衝立で半分囲われたような状態だったそうですが、それでも一応、19年ぶりの対面、ということになるのでしょう。

周囲の物々しさ、騒々しさとは全く別に、この裁判には言葉にならない交々の思いを禁じ得ません。禁じ得るはずがないのです。
「傍聴には行かないのですか?」とあちこちから問い合わせがありました。
ただ、近寄り難い、というより、「関係者立入厳禁」とでもいわんばかりの有無を言わせぬ雰囲気が四方八方からひしひしと伝わってくる中、結局、ヘリコプターが上空を旋回する教団施設で終日過ごすことになりました。

“オウムウォッチャー”としてその名を知られた有田芳生氏は、
「教団側には奪還する理由も力もない」
「奪還テロは1000%ない」
と「断言」されているとのこと(「週刊女性」2014年1月28日号)。
そういうことなら、と、
「1000%もないんだったら、やっぱり傍聴に行っても問題なかったか?」
「100%×10だから、10回行っても大丈夫なのか??」
等々、変な計算をしてはまた思案するという、堂々巡りの長い一日でした。

死刑囚の尋問日程はあと3期日。裁判は3月上旬まで続きます。
 

オウム裁判の「裏」(時々「闇」)

1月16日、東京地裁では、オウム真理教の「元」信者である平田信被告の裁判員裁判の初公判が開かれ、マスコミにも大々的に報じられました。実はその裏で(「闇」ではありません)、ちょうど同じ16日、大津地裁では、Alephの「現」信者が起こした国家賠償請求訴訟の口頭弁論が行なわれていました。
この国賠訴訟は、詐欺の疑いで逮捕・起訴されたAlephの在家会員らが、昨年、無罪判決を得たのち、国などに対して損害賠償を求めて提起したものです。

ひと口に「無罪判決」といっても、起訴されれば99.9%が有罪になる日本の裁判で、しかも教団関連の事件で、これはとびきりのレアケースです。
それでもマスコミは、逮捕されたときには大きく派手に報じるものの、この詐欺事件を含めて、後に無罪になったり不起訴になったりしたケースについては、ほとんど目立たないかたちでしか取り上げません。時には全く報道されないことも。

Alephには、毎年少なくとも1回は、何かの容疑にかこつけて、警察による強制捜査(家宅捜索や逮捕等)が行なわれています。しかし、その後の経過はほとんど報道されず、無罪や不起訴等の結果は知られることなく葬り去られるのです(「闇」に、です)。

近年、Alephの会員に対して行なわれた強制捜査は、以下のとおり、8人連続で不起訴か無罪になっています。

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■2011年 7月14日
 警視庁による強制捜査(東京・被疑者2名)
 →不起訴

■2012年 5月30日
 滋賀県警による強制捜査(京都他・被疑者3名)
 →1名不起訴、2名無罪

■2013年 1月11日
 福岡県警による強制捜査(福岡他・被疑者2名)
 →不起訴

■2013年 4月 8日
 神奈川県警による強制捜査(横浜他・被疑者1名)
 →不起訴

「奪還」3(もしくは「最高の洞穴」)

今から18年前、96年5月15日の第3回破防法弁明手続の冒頭で、麻原教祖は「うわさされている奪還」についての質問に「洞穴」のたとえで答えましたが、この問答は、お昼休みを挟んだ午後の手続でも、もう一度繰り返されました。
ただ単に繰り返されただけでなく、教祖の「洞穴」は、今度は「最高の洞穴」と称されています。
この「最高の洞穴」は、その後全面的に改築され、高さ50メートル・12階建ての近代的な高層ビルに変貌しました。

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(公安調査庁職員)それでは、手続を再開します。松本代表の意見陳述を続行してください。

(教団代理人)けさ冒頭にも伺いましたが、要するに将来の危険性がないという意味で、逃亡する、あるいは奪還されるという意思があるのかどうかですね。ここの点についてもう一度あなたの率直な意思表明を繰り返してもらえますか。

(麻原彰晃)ここの生活はもともと、例えばタ方5時から朝の7時までは非常に静かな時間を過ごすことができますし、また部屋の感じが非常に厚いコンクリートで、列車の音は聞こえますけれども、鳥の声、その他聞くことができて、非常に日本においては最高の洞穴に近い状態じゃないかと考えております。私自体、瞑想修行を完成したいと考えておりますので、今の環境に対して非常に満足しておりまして、ですから、奪還されることに対して、私はそれを喜ぶこともありませんし、また肯定することもありません。

(教団代理人)率直に言って、仮にだれかがあなたを奪還しようとしても、もはやかくまう場所も、あるいはあなたを逃亡者として受け入れてくれるような国もあり得ないと思うんですけどね。ですから、公安調査庁は本当にそういう危険があるというなら、こういうことが起こるんだということを公安調査庁の方がはっきり言うべきだというふうに思いますがね。

(麻原彰晃)はい。